10月30日、大手新聞社「O Globo」の記事に興味深いものがあったので紹介します。
現在のブラジル国内の出版界、特に小説部門ではどんなことが起きているかについてです。
以下引用部分は記事から翻訳
国内大手出版社SextanteのTomás Pereira氏は、ブラジルの国内の小説の普及率が低いことを嘆いている。ノンフィクション部門とは正反対に、小説部門でのトップセラー10位まではほぼいつも海外文学が占める。「ブラジルの有能な作家たちは、ノヴェーラ(※テレビドラマ)を書いているんだ。」ブラジルは大衆向け書籍の市場を確立しておらず、出版社はTV市場と戦えない。ベストセラー作家になれるような作家たちはそのTV市場に流れてしまっている。「我々はそういった作家たちをテレビ界に取られてしまっている」
では参考までに国内の書籍の2016年年間販売部数(1月〜10月)ランキングを見てみましょう。
太字がブラジル人著者のものです。確かに小説部門では1冊しかランクインしてませんね。
(参考 http://www.publishnews.com.br/ranking)
太字がブラジル人著者のものです。確かに小説部門では1冊しかランクインしてませんね。
(参考 http://www.publishnews.com.br/ranking)
小説部門
1位 Como eu era antes de você/ Jojo Moyes
2位 Depois de você/ Jojo Moyes
3位 Orfanato da Srta. Peregrine para crianças peculiares/ Ransom Riggs
4位 Grey/ E. L. James
5位 A garota no trem/ Paula Hawkins
6位 Todo seu/ Sylvia Day
7位 A última carta de amor/ Jojo Moyes
8位 No seu olhar/ Nicholas Sparks
9位 Todos os contos/ Clarice Lispector
10位 Cidade dos etéreos/ Ransom Riggs
1位 Como eu era antes de você/ Jojo Moyes
2位 Depois de você/ Jojo Moyes
3位 Orfanato da Srta. Peregrine para crianças peculiares/ Ransom Riggs
4位 Grey/ E. L. James
5位 A garota no trem/ Paula Hawkins
6位 Todo seu/ Sylvia Day
7位 A última carta de amor/ Jojo Moyes
8位 No seu olhar/ Nicholas Sparks
9位 Todos os contos/ Clarice Lispector
10位 Cidade dos etéreos/ Ransom Riggs
ノンフィクション部門
1位 Muito mais que 5inco minutos/ Kéfera Buchmann
2位 O diário de Anne Frank/ Mirjam Pressler, Otto H. Frank
3位 Lava Jato/ Vladimir Netto
4位 O nome de Deus é misericórdia/ Andrea Tornielli, Papa Francisco
5位 Maria/ Rodrigo Alvarez
6位 Tá gravando. E agora?/ Kéfera Buchmann
7位 Bela cozinha 2/ Bela Gil
8位 Dona Benta - Comer bem/ Vários
9位 Tá todo mundo mal/ Jout Jout
10位 Uma pergunta por dia/ Potter Style
2位 O diário de Anne Frank/ Mirjam Pressler, Otto H. Frank
3位 Lava Jato/ Vladimir Netto
4位 O nome de Deus é misericórdia/ Andrea Tornielli, Papa Francisco
5位 Maria/ Rodrigo Alvarez
6位 Tá gravando. E agora?/ Kéfera Buchmann
7位 Bela cozinha 2/ Bela Gil
8位 Dona Benta - Comer bem/ Vários
9位 Tá todo mundo mal/ Jout Jout
10位 Uma pergunta por dia/ Potter Style
文芸評論家で随筆家のItalo Moriconi氏は出版界からTV界に行く方が、その反対よりもずっと簡単だと語る。「どんな編集者も、作家に磨きをかけることは出来るけれども、作家をゼロから生み出すことはできない。きっと売れ筋を選ぶ読者が求めているのは、まさにそういった売れている本の"アメリカナイズされた"もしくは"グローバル化された"雰囲気なのである。」イタロは楽観主義者である。「今日では、ファンタジー小説や、著名YouTuberらが書いた若者向けの本、様々なジャンルのファン・フィクションなどは、売れる大きなポテンシャルを持っている。ブラジルでベストセラー作家になりたければ、そこから離れるか、留まるかのどちらかなのだ。」
果たして??読者の脱ブラジル化が進んでいるのでしょうか?
そもそも小説を読む層というのは、"現実逃避"を求めている人が多いから、「ブラジルという現実からも目を背けたい、せめて小説の世界の中だけは...」という傾向にあるのかもしれませんね。
文芸評論家のBeatriz Resende氏は、問題の核となるのは可視性、広告や宣伝の不足だという。彼女は、ブラジル文学はもっと売れると思っている。「ブラジル文学は多彩で、現代人の感覚と調和していて、グローバルに流通する力を持っている。素晴らしいベテラン作家はもちろん、面白い若手がどんどん出てきていて、ブラジル文学界は常にアップデートされている。私たちの間ですら知られていないような作家でも、世界中の読者を惹きつけるものを持っている」
ベアトリスさんにとっては、だからどんどん発掘されるべき!ということですね。
文芸評論家のJosé Castelo氏は、他の方向を目指した方がいいと考える。「残念ながら、ブラジル国内の新世代の小説家の大半は、市場の誘惑に心を奪われている。商業的に認められるためにやっている。」彼にとって、「商業主義の文学」(と彼が呼んでいる)が生まれたのは、「私たちの生きている、平凡で暗澹とした時代」のせいであるという。
まとめ
・ブラジル人作家の小説が売れていない・有能な小説家はドラマの脚本を書いている
・ノンフィクションの売上ランキングは国内作家が多い
・小説売上ランキングは海外作家が圧倒的
・国内の小説家は商業主義に流れがちという人もいる
・ブラジル文学は世界でヒットする可能性も持っているという人もいる
スポンサーリンク
0 コメント:
コメントを投稿